子供の靴選びで一番大切なこと

先日、知人との話の中で、同僚のお母さんたちが子供の靴選びが難しいといって困っているという話題が出ました。

3月になると進学のために買った靴がどれも足に合わなくて困るという相談が増えます。ピークは入学直前の3月末から4月の初めにかけてです。中には、色々なお店で4、5足買ったのに結局どれを履いても足が痛くて履けないということもありました。

他にも、スポーツをやっているのだけれど、例えばサッカーのスパイクで、合うのが見つからず、いつも足を痛がるという相談も多いです。

 

私のところで子供の相談を受けたときに、いつも決まって感じることがあります。

それは、「ためし履きの感想を、保護者の方が急がせるなぁ」ということです。

 

履いて、立って、数歩歩くと、「どう?きつくない?」という声が出てしまっています。

 

保護者の方のお気持ちは分かります。その靴が合っているのかどうかは本人にしか分かりませんから、本人に聞くしかないですし、かといって本人に聞いてみても、お子さんははっきり表現しないから保護者の方にしてみたらもどかしくて、さらに目の前に店員を待たせていることが気になってしまってもどかしさが倍増するのでしょう。

 

しかし、靴と足の表現は、大人にとっても難しいものです。サイズが足に合っていて、かつ痛くない靴を探すことは大人でも皆さん苦労しています。

そして、大人であっても、靴を履いて足が痛いとき、その状況をうまく人に伝えることができる人はそうそう居ません。ここが痛いとか、こういう風にきついとか、いろいろな表現をそれぞれなさいますが、よくよく話しを聞くと、全く的外れなことを言っている人も多くいます。

私のところに相談に来る大人の殆どは、ゆっくりとこちらが順を追って悩みを確認しないと、何がどう痛むのか、どこが問題なのか、こちらが理解することができません。

本人が痛いと思っている場所と、実際に痛みを感じている場所が違うこともよくありますし、気持ちが先走ってしまって、ご本人のアピールされる内容が生活状況の不便さの説明でしかなかったりします。結果として、痛み対策だと思って選んでいる靴が全くの的外れだったりしているのです。

 

足の悩みを伝えることが難しいのには理由があります。

例えば、歩いているときのある瞬間に痛みが出る場合では、どこが痛いのかと聞かれても立ち止まってしまうと分からなくなってしまうということがあります。

他には、足の骨に出っ張っている部分があると、その部分が靴に点で当たって強い痛みを感じます。しかし、自分の足を触っても、その出っ張りに気づくことが出来ないことがあるため、何が痛みを起こしているのかわからず、「歩いていると痛くなる」というふうに表現されたりします。

 

 

そんな、大人にも表現の難しい足のことですから、子供にとって難しいことであることは当然です。最後は靴を履く本人であるお子さんに聞くしかないとしても、じっくりと聞き方も工夫しながら感想を聞いて確認する必要があります。

 

こどもに感想を聞く際に、一番問題なのは、「きつくない?」と聞くことです。

 

先ほど紹介したように、足は骨がちょこっと飛び出ているということがよくあります。そして、その出っ張っている部分は靴に当たって強い痛みを感じます。

このような一箇所点で痛みが出ている場合でも、子供は、「きつい」と言いうことがよくあります。

 

何故「当たって痛い」ではなくて「きつい」なのかというと、、保護者の方のお子さんへの質問が、「きつくない?」だからです。

 

靴屋は、「きつい」と言われたらサイズを大きくするしかありません。しかし、どこかピンポイントで痛いところがある場合は、その部分を加工して当たらないようにすることが出来る場合も有ります。

 

この靴を履いたときは、どこが当たるのか、又はどうすると痛みが出るのか。

一つずつ、時間を掛けて、本人に確認しましょう。

Aの靴は履いただけでここが痛い、Bの靴は歩くときにかかとの後ろが痛いなど、どういうときに、どこが痛くなるのかを時間を掛けて確認すると、これまで全部「きつい」で終わってしまっていたものの、問題点が明確になってきます。

問題点が明確になれば、その問題点さえ取り除くことができれば、履ける靴も出てきますから、これまでと靴のサイズが変わったりします。

このように、一つ一つの靴の問題点を、きちんと表現させてあげることが子供の靴選びでは最も大切です。対処法を見つけるにしても、何が問題なのかを明確にするところから始まります。

 

少し時間が掛かりますので、お店で店員の時間をあまりに長く割くことに抵抗がある場合もあると思います。そんな場合は、朝一番など時間を工夫してみてください。それから、そのお店でうまく靴が見つかったら、他の靴の購入や、学校用の靴は卒業までそのお店で買うようにするなどして、そのお店と長くお付き合いをいただけると嬉しいです。

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